院長ブログ

40代以上の男性に多い病気なのにあまり知られていない。『前立腺がん』と『鼠径(そけい)ヘルニア』について

院長の新谷です。今回は前立腺がんと鼠径ヘルニア(脱腸)についてお話ししていこうと思います。
突然ですが『前立腺がん』の手術を受けた方の1割(10人に1人)が『鼠径ヘルニア(脱腸)』を発症していることをご存知でしょうか。
前立腺がんの年間の手術実施件数は約2万2,000件。その1割ですから約2,000人が手術後に鼠径ヘルニアを発症していることになります。鼠径ヘルニアは国内で年間30~40万人が発症すると報告されており、そのうちの8割5分が男性。さらに成人の鼠径ヘルニアの年間の手術実施件数は約16万件にのぼり、これは国内の外科手術の中では最も多い患者数とされています。

なぜ前立腺がんの手術後に鼠径ヘルニアになりやすいのか。

これまで前立腺がんの治療法としてホルモン療法が用いられてきましたが、最近ではロボット支援手術が普及してきました。それによって増加しているのが外鼠径ヘルニアです。前立腺がんのロボット支援手術は鼠径部近傍での手術操作となるため、手術部位が手術の影響で炎症して硬くなってしまいます。内側にかかる負担を分散させるために、外側の負担が大きくなり、結果的に外鼠径ヘルニアを引き起こすというわけです。

私たちのクリニックでは当初、前立腺がん術後の方への手術は『鼠径部切開法』を用いて治療してきましたが、最近では特殊なメッシュも開発されたため、炎症の程度によっては『腹腔鏡手術』で治療することができる場合もあります。

病気になりやすい人の特徴・共通点とは?

ふたつの病気に直接的な因果関係はないものの、「病気になりやすい人の特徴」というポイントで見ると、いくつかの共通点があります。前立腺がんは男性にしか発症しない病気で、50歳代から加齢に伴って罹患率が上昇する傾向があります。一方で、鼠径ヘルニアとは鼠径部(足の付け根の部分)の筋膜に穴が空き、その穴から腸や腹膜の一部が飛び出してくる病気です。こちらも加齢の影響により鼠径部の筋膜が弱くなる40歳以上、特に60歳前後の男性に多い傾向にあります。年齢や性別だけでなく、どちらの病気も食生活の乱れや運動不足、肥満などの生活習慣病も影響してくることから「おなじような背景の人たちがなりやすい病気」と言えます。

鼠径ヘルニアを予防する方法はあるのか?

結論からいうと、これといった予防法はありません。ただ要因として喫煙による咳嗽や慢性呼吸器疾患による組織の脆弱、便秘によるいきみ、肥満などが原因となるため、生活様式を変えることで発症しにくくすることができます。また鼠径ヘルニアになりやすい職業もあります。重たいものを持つ職業や立ち仕事をしている人は注意が必要。運搬系の職業だけでなく重たい鍋やフライパンを扱う料理人、立っている時間が長い美容師や販売系、警備員なども同様のリスクがあるため注意が必要です。

<鼠径ヘルニアになりやすい職業>

料理人、美容師、アパレル販売員、飲食店ホール、クリーニング屋、八百屋、警備員、マンション管理人、看護師、介護職、自営業者など

セルフチェックを週間づけることで早期発見!

いくつかご自身でもできる診断ポイントをまとめてみました。

下記に当てはまる方はすぐに受診して医師に相談することをお勧めします。

◎陰嚢が腫れている
◎太ももの付け根にふくらみ・しこりのようなものがある
└大きさは母指頭大(手の親指の先)かそれ以上であることが多いです
◎上から太ももの付け根を見ると、バランスに左右差がある
└肥満の人の場合、目視では判断できない場合もあります
◎立っていると違和感があって、仰向けになるとラクになる

痛みがないからといって放置することだけは絶対にやめましょう。

放置しておくと、命に関わる危険性もあります。

鼠径ヘルニアを放置しておくと脱出した状態で腸が硬くなってしまい、お腹のなかに引っ込まなくなり、次第に痛みも悪化。歩くのも辛くなります。この状態を「嵌頓(かんとん)」と言い、こうなると緊急手術や腸管切除が必要になります。
年間でこの病気を発症した方の100人に1人が嵌頓すると考えられており、嵌頓した人のうち数パーセント(10,000人に3~4人)が緊急手術・腸管切除を受けています。年間30~40万人が発症していることを考えると、じつに100~150人くらいが緊急手術を受けている計算になります。腸閉塞や腹膜炎など命に関わる危険性もあるため、早めに受診し、診断することが大切なのです。

午前中に手術をして、午後には帰宅できる『日帰り手術』。

以前は3~4日の入院期間を必要としていた鼠径ヘルニアの手術ですが、近年の腹腔鏡手術と全身麻酔の技術向上で、より身体への負担が少ない治療法を『日帰り手術』で提供できるようになりました。もう手術のために長期間の休暇を取る必要はありません。午前中に手術をして、午後にはご自宅に帰ることができるのです(鼠径部切開法でも日帰りが可能)。

当院では、診察のクオリテイを高めて不要なものを取り去る「最軽量最強」を目指しています。この検査の次はこの検査を…といった形式的なものではなく、患者様ひとり一人に必要な検査を見極め、実施することで医療費の負担を抑えます。「ほかでは検査に10,000円もかかったのに、ここでは3,000円で済んだ!」と驚かれる患者様もいらっしゃいます。必要なものを、必要な人たちだけに届けたい。それがALOHA外科クリニックのモットーです。もし「鼠径ヘルニアかも」と思われたら、ぜひ一度当院にお越しください。

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