院長ブログ

★★★ CQ10 成人鼠径部ヘルニアに対してLichtenstein法は推奨できるか?

Answer

成人鼠径ヘルニアに対してLichtenstein方は推奨できる(推奨グレードB)。

解説

Lichtenstein法はIrving L. Lichtensteinにより1980年代に開発された術式で、欧米では広く普及している代表的な tension-free術式となっているが、我が国での実施数は多くない。近年では多くの点で原法に改良が加えられているが、鼠径管後壁、内腹斜筋、腹直筋前鞘、恥骨結節をメッシュで被覆する修復術を一般にLichtenstein法と総称する。

他の術式との比較において、明らかな優位性あるいは劣性を認めず、経験の浅い外科医でも安全に施行可能で、わが国においてもお推奨できる術式と位置づけられる*1。

鼠径部ヘルニアのうち大腿ヘルニアに対する治療効果はない*2。

Lichtenstein法の術式において問題となるのがメッシュの固定法である。

原法では非吸収糸による連続縫合であった。

その後、固定糸によると考えられる慢性疼痛*3が問題となり、糊(glue)による固定が検討されたが、国内での保険適応がなく推奨されない。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」36頁より
(ただし、太字への変更、下線及び*は筆者)

注記*1

経験不問で劣性を認めない。
→このような術式はとても良い術式です。=標準術式
→経験の浅い医師でも安全に施行可能で、成績も他の術式として劣らない。

これは良い術式に決まっています。

私見ですが、他の術式、特に腹膜前到達法は決して容易な術式ではないと思います。

→また、腹腔内側から観察すると、腹膜前で操作した部分への癒着なども観察され、それが盲目的な操作であった可能性を考慮すると、少し怖い気がします。

もちろん経験を積まれた医師が実施する手術は問題ありませんが、外科の登竜門的な位置づけの手術であり最初の手術が腹膜前到達法であったとすると、かなり難しいと思います。

注記*2

このことから大腿ヘルニアを約20%に認める女性の術式としては少し不安が残ります。

注記*3

そこでParietex Progripの登場となります。

Parietex Progripはpolyester meshの裏面に吸収性マイクログリップがついた半吸収性メッシュで、セルフグリップ機能によりメッシュの縫合固定は不要です(当院のLichtenstein法で使用しています)。

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